【人生100年時代】お金より夢を追う(コラム)|シニア1165(いい老後)
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【人生100年時代】お金より夢を追う

鶴蒔靖夫 著『人生100年時代 いつまでも自分らしく暮らしたい 老後の住まい第3の選択「シニア向け分譲マンション」』は、2016年7月に発行された書籍です。

多くの高齢者が身体的衰えや家族やライフスタイルなど、生活環境の変化にマッチしていない住宅に住み続けている現状を知ることができます。

このページでは、同書より、それぞれの章の内容を抜粋して連載する記事コラムの形にて、皆さんに「人生100年時代」を生きる道標のひとつとして、シニア向け分譲マンションの実情を紹介していきます。

人生100年時代 いつまでも自分らしく暮らしたい 老後の住まい第3の選択「シニア向け分譲マンション」鶴蒔靖夫 著

最終回は「第5章 元気な高齢者の新しい選択肢」より、
「お金より夢を追う」を紹介します。

外所には、シニア向け分譲マンションの動向をはじめとして、さまざまなことを語ってもらったのだが、ときおりビジネスを超えた考察がふっと現れた。含蓄のあるその指摘は、経営者としての核心を含んでいるようにも思われるので、最後に紹介しておきたい。

シニア向け分譲マンションという、デリケートで難しい事業を続けるなかで、外所はこんなことを語っている。

「この世界は、ボランティアの精神を持っていないと務まりません。ボランティア的感覚がなければ、一時はうまくいったとしても、長期的には難しいでしょう」

「やろうと思ったら、あきらめないでやり続けるしかないと思います」

「これでいいかな、これでいいかなと、手探りで進んできて、やりながらわかってきたのが実感です。」

「私も最初は、契約書に書いてあるのだから、そのとおりでいいだろうと思っていました。でも、人間の生き様には多少グレーの部分がありますよね。ある程度はグレーの中で判断していかざるをえないのが実際です。どこまでそうしたものに対応できるかで、会社としての度量がはかられるわけです。」

「この世界は、リスクから逃げるより、ある程度、構えてやるしかないと思っています」

「こういう考えだから、あまり儲かりません」と苦笑いした外所に、「儲からないほうがいいんです。これで儲かったらたいへんです」と私は返した。

安心授与のサービスこそ事業の意義との信念を持つ外所は、管理運営サービスの削減には、けっして同調しない。ボランティア精神を強調するのも、ここに入った高齢者に理想の場を提供するとの使命感があるからだろう。そして、理想の追求と商売の儲けは、おおむね捻れた関係にあるものである。

「いまはかなり理想を追いかけていますね」と問うと、「お金はたいへん大事なものですが、それだけを追い求めては、高齢者向けの仕事をやる甲斐はないでしょう」と答えた。シニア向け分譲マンションのあるべき姿を、率先して実現させていこうとの心意気である。

「儲けはないかもしれませんが、夢がありますね。多くのケースは、夢より先に儲けの欲望がきているのですが」と話す私に、外所は「ひたすらお金を追いかけるより、夢や理想を追い求める。これからの日本は、そちらの方向に進んでいくのではないかと思います」と応じた。そうなればよいと、私も思う。

世界の高齢社会の最先端を突き進む日本は今後、どうあるべきか。アメリカの高名なジェロントロジーの教授は、「日本は、国がとっている高齢化対策を哲学的に変えていく必要があると思います」と指摘した。

超高齢化社会を不幸なものにしないためにも、国の責務は非常に大きい。同時に、シニア産業の担い手も、高齢社会のニーズにより深く応える理念と覚悟を持たなければならない。

そして、私も含め、高齢者の一人ひとりが、自分のことは自分で行うという可能性を最後まで追求する「自己力」を拡大するように努めなければならないと思うのである。

著者紹介

鶴蒔靖夫(つるまき やすお)

日本の実業家、ラジオパーソナリティ。
樺太(現サハリン州)生まれ、北海学園大学経済学部中退。フリーライターとして独立。大宅壮一に師事。昭和40年7月株式会社IN通信社(アイエヌつうしんしゃ)を創立して代表に就任。雑誌「人物評論」発行、編集主幹を経て、現在、評論家、ラジオパーソナリティとして活動。

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