【人生100年時代】85歳以上でも6割以上の人が健康状態「ふつう」以上
鶴蒔靖夫 著『人生100年時代 いつまでも自分らしく暮らしたい 老後の住まい第3の選択「シニア向け分譲マンション」』は、2016年7月に発行された書籍です。
多くの高齢者が身体的衰えや家族やライフスタイルなど、生活環境の変化にマッチしていない住宅に住み続けている現状を知ることができます。
このページでは、同書より、それぞれの章の内容を抜粋して連載する記事コラムの形にて、皆さんに「人生100年時代」を生きる道標のひとつとして、シニア向け分譲マンションの実情を紹介していきます。
第3回は「第2章 高齢者の住宅事情」より、
「85歳以上でも6割以上の人が健康状態「ふつう」以上」を紹介します。
元気な高齢者が増えてきたと言ったが、「平成27年版高齢社会白書」を見ると、その具体的な数字をうかがうことができる。たとえば自分の健康状態に関しては、70歳までは3割の人が「よい」「まあよい」と答えているが、その数値は当然、年齢が上がるにつれて下がっていく。
しかし私が注目したのは、「ふつう」と答えた人の割合である。どの年齢層も「ふつう」と答える人が最も多いのだが、80歳を超えても半数近くが「ふつう」と意識しているのだ。これに「よい」「まあよい」を足すと、85歳を超えても約6割が身体的に「セーフ」の圏内にいることになる。
これはなかなかすごいことではないだろうか。平均寿命の85歳を超えても、6割の人たちは、日常生活を「ふつう」に送っているということだ。身体的な衰えや持病など何らかのトラブルにより所作は少し鈍くなっているかもしれないが、それでも自分のことは自分でやっているのである。
私の知っている90歳を過ぎた男子は、歩くときには杖が必要であるが、自分の部屋の掃除は自分で行っている。人に何かを聞かれたときも的確な答えを返し、むかしの記憶も鮮明だ。新聞や雑誌も読んでいて、現在の状況も把握している。病院には定期的に通い、薬も欠かさぬようだが、自分の健康状態を問われたら「ふつう」と答えることだろう。
高齢者には高齢者なりの「元気の基準」があると思う。少し調子の悪いところがあったとしても、人の手を煩わせずに日常生活を送ることができるなら、充分に「元気」だと言えるだろうし、それがいちばん望ましいことだろう。
そうした「ふつう」の人たちが、楽しく快適な日々を遅れるような環境を整えていくことは、重要な課題になってくるだろう。
もうひとつ注目したのは、自主的にグループ活動に参加したことがあるかどうかという調査である。それによると、60歳以上の高齢者の約6割が、なんらかのグループ活動に参加したことがあるという。健康・スポーツ、趣味、地域行事と、活動内容はさまざまだが、なかなかのアクティブ志向である。
グループ活動による効果についても、「新しい友人を得ることができた」「生活に充実感ができた」「健康や体力に自信がついた」「地域社会に貢献できた」など、たいへんポジティブに受け止めている。
ここでぜひ伝えたいのは、自主的にグループ活動に参加した高齢者の割合が、20年前と比べて18ポイント以上も増加したということだ。むかしの高齢者といまの高齢者では、意識も動き方も違ってきたことがよくわかる。
若い世代との交流を望む高齢者も約6割いるという。この割合も、10年前と比べると7ポイント以上の上昇を見せている。いまの高齢者は、身体的には少々衰えても、それを上回る好奇心とポジティブ意識で元気さを保とうとしているのである。
著者紹介
鶴蒔靖夫(つるまき やすお)
日本の実業家、ラジオパーソナリティ。
樺太(現サハリン州)生まれ、北海学園大学経済学部中退。フリーライターとして独立。大宅壮一に師事。昭和40年7月株式会社IN通信社(アイエヌつうしんしゃ)を創立して代表に就任。雑誌「人物評論」発行、編集主幹を経て、現在、評論家、ラジオパーソナリティとして活動。
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